和族遥かなる旅路Ⅱ

タイ族編 第15話 - 哀牢国

インたちは、滇王国の隣の永昌に来ました。見渡す限り山また山です。

[イン]ここは東南アジアや身毒(いんど)に繋がる要所でな、中国大陸の西南端だ。ここを押さえれば、中国大陸の貿易路を絶つ事が出来る。北東に滇(てん)王国があって、その先が夜郎(やろう)族の村々だ。向こうが阿倭山で、ヤー叔母さんの故郷だ。
[ヌン]ぐるっと回って来て、もう後は無いって事だな。

[イン]そうだ。ここに最後の砦を作る。タイ族の都市国家だ。
[ヌン]タイ族の?

[イン]あぁ、国を作るいじょう、王が必要だ。これからはお前が指導者で、俺たちイ族はあくまでも戦闘傭兵だ。
[ヌン]それは出来ない。お前たちが居たから、タイ族は此処までやって来れたんだ。

[イン]俺はラオーに、お前たちを守れとは言われたが、王になれとは言われていない。
[ヌン]・・・。なら、ラオーを王にしよう。考えてみれば、俺たちは20,000年前にラオーと出会ってからずっとラオー族だったんだ。これからはタイ族の王と崇める。

[イン]いいだろう。そのタイ族をまとめるのはお前だ。
[ヌン]わかった。

[イン]早速国造りに取り掛かろう。先ず、苗族は山々に棚田を作り食料を確保する。イ族とワ族は街を作る。タイ族はその外側に煉瓦造りの強固な城壁と深い堀を巡らす。ヌンはその全てを管理してくれ。
[ヌン]よし。

[イン]煉瓦造りの取得に、何人か滇王国に派遣しないとな。
[ヌン]いや。向こうから職人を連れて来て、此処で教えて貰いながら作った方が早い。

[イン]・・・。お前、本当にラオーに似て来たな。
[ヌン]インのお陰だよ。防御に徹するなら、敵の何倍も考えて準備しておかないと守り切れん。

城郭都市造りは急ピッチで進められ、ヌンは、この都市国家をラオー国と命名します。棚田は何処までも続き、タイ族と苗族は平地に倭族は山に、次々と村を作って行きます。


[イン]漢族は、我々の事を哀牢(アイラオ)と呼んでるそうだ。相手を蔑まないと安心出来ない民族なんだな。
[ヌン]好きに呼ばしておこう。

[イン]城壁の四門と四隅には見張り台と兵の休憩場所を作って、そこに武器庫を併設した方がいいな。武器も、滇王国から製鉄技術者を連れて来て城内で作ろう。滇王国はあまり兵器を作っていないけど、技術は一級品だ。
[ヌン]俺は兵に格闘術を取り入れようと思う。こういう山や森で戦うには、槍や弓より小刀や素手の方が有利だ。それから象兵だ。カレン族は弓と象使いの名手なんだ。敵さんびっくりするぞ。木材の運搬にも使えるし、山から山への移動には最適だ。

[イン]じゃ、象の食料がたっぷり有りそうな山に、カレン族の村を作らせよう。城郭に通じる道に直接下りられる所がいいな。そうすれば、物の運搬にも便利だし、敵兵が攻めて来ても前後左右から攻撃して殲滅出来る。
[ヌン]それはいい。早速、全ての幹線道路の左右にカレン族の村を配置しよう。カレン族は今まで日陰の存在だったから、きっと喜ぶぞ。

カレン族の村でも象兵の訓練が始まりました。象の背中に箱を載せて真ん中に象使い、左右に弓を持った兵が乗り込みます。象にも厚い布の矢避けを着せて保護します。

[イン]これは、漢族の騎兵戦車より遥かに強いな。象が突然現れたら馬も兵を放り出して逃げ出すよ。
[ヌン]だろう。象はカレン語が解るんだ。タイ語で言っても聞かない。ましてや漢族の言う事なんか聞かないよ。

[イン]こうやって見ていると、カレン族は象を大切にしているね。
[ヌン]あぁ。カレン族は、いつも象と一緒で、家族の一員だと思っている。きっと、ラオーがいつも犬と一緒だったのと同じ感情なんだろな。

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