和族遥かなる旅路Ⅱ

タイ族編 第13話 - 漢王朝

漢族Y-O3aは、7,000~6,000年前に中央アジアで発生し、秦族と一緒に西北ルートで中国大陸へやって来たようです。秦王朝の時代には中原付近に居を構え、秦が滅亡すると劉邦は漢中で漢王を名乗ります。楚の項羽との度重なる戦いで双方とも疲れ果てて講和を結びますが、一転、退却する項羽の軍を攻めて最後の戦いに勝利し、楚は壊滅します。長安を首都にした漢王朝は、疑心暗鬼に陥り、統一に功績のあった諸侯や腹心を次々に粛清します。長江の邑も風雲急を告げていました。

[イン]漢も同じだな。秦を悪玉にして自らを善玉にしようとしているが、やってる事はちっとも変わらん。
[ヌン]これからどうなるかな。

[イン]中原の漢族は従来の夏華族を追い出し、自ら夏華族を名乗っている。けったいな話だね。元々はラオーの和族が45,000年前から居住し、20,000年前には栗を栽培、5,000年前には青銅文化を築いた場所だ。ま、考え方によっては、嘘と捏造が中華文明なのかも知れない。
[ヌン]とても付き合い切れんな。

[イン]遊牧民が遊牧民を呼び、今じゃこの周辺まで異民族だらけだ。いずれ漢は、長江流域に進出して来る。そうなれば、周囲の異民族が先頭に立って略奪に走るだろう。いよいよここを去る時が来たようだな。先ずやられるのは、中原に近いヤー叔母さんの邑だ。稲作文化は最大の魅力だからな。
[ヌン]・・・。

[イン]モーナ。急いでヤー叔母さんの邑に行って来てくれ。漢は楚の残党狩りをしている。太公望の子孫をこの邑に非難させ、合流したら我々は南回りで昆明の滇池(てんち)に行くから、ヤー叔母さんたちは直接滇池に向かうよう伝えてくれ。あそこには昔、黄河中・下流から脱出した和族が住んでいる。
[モーナ]よっしゃ。
[ヌン]黄河の和族?

[イン]そうだ。お前が以前住んでいた村だ。青銅器文化を携えて滇池まで逃れたらしい。
[ヌン]そうだったのか。それで滇池へ行こうと言うんだな。

モーナは、ヤーたちを無事に滇池に送り出して、太公望の子孫と楚の残党を連れて来ました。

[イン]まもなく、ここにも漢の軍勢が押し寄せてくる。ヌンとモーナは村民を連れて雲南に向かってくれ。あそこなら、また稲作が出来る。俺が殿(しんがり)を務めるから、その隙に脱出するんだ。
[ヌン]わかった。
[モーナ]俺はやだ。ここに残って、あにーと一緒に戦う。

[イン]ヌン一人でこれだけの村民を連れ出すのは無理だ。心配するな、一太刀浴びせたらすぐ後を追う。
[モーナ]あにーが何と言っても、俺はここに残って戦う。

[ヌン]太公望の子孫は、残っている和族と共に日本列島へ行きたいそうだから、船を調達して送り出す。村人の移動は、楚の人たちも手伝ってくれるから、モーナがここに残っても大丈夫だ。
[イン]・・・、勝手にしろ。


結局、高砂族は全員が残って戦う事になりました。

[イン]いいか、モーナ。敵兵を全部東門に集めるんだ。闇に紛れて西門からヌンたちを逃がす。

山沿いの道に仕掛けた竹槍が、唸りを上げて漢の兵に突き刺さり、茂みに隠れていた高砂族が襲い掛かります。東門に到達した敵兵には、防御壁の柵越しに矢を射掛けます。

[イン]よし、ヌンたちも無事に脱出したようだし、もういいだろ。俺たちも脱出しよう。

インたちは、越の地でヌンたちに追いつきました。漢の侵攻によって、和族は皆中国大陸から去って行きました。これからは、倭族とタイ族と苗族で頑張るしかありません。

[イン]しかし、苗族は凄いな。どんな時でも雑草のように生きて行く。黄河でも長江でも苗族は残った。本当に中国大陸を支えているのは苗族かも知れない。
[ヌン]うん。稲作を教えればすぐ覚える。根っからの農耕民族だよ。
[モーナ]・・・。

[イン]どうしたモーナ。さっきから黙りこくって。
[モーナ]・・・。あにー。

[イン]ん?
[モーナ]あにーには申し訳無いけど、俺はもうこんな中国大陸は嫌だ。

[イン]・・・。
[モーナ]俺たち高砂族は、ここから台湾に渡ろうと思う。

[イン]そうか・・・。
[モーナ]あにー、すまん。

[イン]何を言う。俺だってラオーとの約束が無ければ、いつでも中国大陸とはおさらばしたいよ。
[モーナ]・・・。あにーやヌンには、本当に世話になった。絶対忘れないよ。
[ヌン]俺も忘れない。一緒に暮らした和族が去り、今またお前たち高砂族が去る。でも、また必ず会える。

モーナたち高砂族は、何回も何回も振り返りながら去って行きました。それをイ族、タイ族、苗族が見送ります。

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