和族遥かなる旅路

日本列島編 第3話 - 関東平野

東北の人々に別れを告げたイーとソンは、南へ進路を取り、太平洋に出ました。

[ソン]ここから東は、全て海だ。
ということは、我々が海岸沿いに南へ下れば、ジーは右手を海にかざしながらやって来るはずだ。
[イー]その通りだ。

二人の心は一致していました。必ず会える。

関東平野は、見渡す限り林や森の広がる広大な台地でした。利根川・霞ヶ浦・北浦・印旛沼などの湖畔にはナウマン象がいて、人々が追いかけています。ナイフ形石器を持っていますから、黄河流域からきた和族でしょう。言葉は、かなり通じます。ソンがナウマン象狩りの腕前を披露します。人々は驚き、二人が持っている楔形細石刃に質問が集中します。

その夜は、村長の家に泊めてもらい、大いに歓待されました。ここの人達もみんな大酒飲みでした。

しばらく逗留してから、二人は東京湾へ向かいました。海は今より遥か沖合いで、干潟が広がっていました。ここにはすでに、揚子江からやって来た南方系和族が定住しているようです。

[ソン]おい、何だあの人だかりは。
[イー]行ってみよう。

人の輪を掻き分けると、数人の男たちが、一軒の家の竪穴を土で埋めていました。みんな押し黙って、遠巻きにその作業を眺めています。どうやら、産卵で大挙して押し寄せた草ふぐの毒に当たったようです。人々は原因が分からず、伝染病とでも思ったのでしょうか。古代の人々の生活は、常に命がけだったようです。

その事件以外は、至って平和な村でした。広大な干潟は一年中食料に事欠きません。イーもソンも、忘れかけていた海辺の生活を思い出しました。そうです、狩猟ができ漁労ができ採集もできるこの日本列島こそ、かあさんが言っていた理想の土地だったのです。

今から20,000年前の日本列島には、3,000人規模の南方系和族がいたようです。そこに7,000人規模の北方系和族が、樺太と朝鮮半島から流入して日本人を形成します。イーとジーの兄弟がアフリカを出てから、40,000年の月日が経っていました。

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