和族遥かなる旅路

日本列島編 第2話 - 東北の地

ソンが、珍しく考え込んでいます。

[ソン]イー。南に行かないか?
[イー]えっ。まだ北海道に着いたばかりじゃないか。一体どうしたんだい?

[ソン]ジーは、きっと南からやって来る。だから南へ行きたいんだ。
[イー]・・・。ソン、ここには、マンモスがいる。南には、きっとマンモスはいない。

[ソン]ナウマン象がいる。
[イー]・・・。お前ってやつは・・・。

イーは泣きそうになりました。ソンは、何処までも俺達兄弟の事を考えてくれている。よし、南へ行こう。

二人は、凍った津軽海峡を越え東北の地を踏みました。人数は少ないですが、ここにも黄河流域から和族が来ていました。ジーや小麦の消息を尋ねますが、依然として不明です。

[ソン]ここにも、黒曜石がいっぱいあるなぁ。

二人は、人々に細石刃(さいせきじん)の作り方を教えました。暖かくなって雨が降り出すと野生の栗の花が咲き、短い秋口にはたわわに実をつけます。

[イー]へぇ。栗だよこれ。俺が狩猟民族じゃなかったら、ここで栗の栽培をやりたいなぁ。

冬になると厳寒の地になりました。イーは土器を創り始めます。北方系縄文人独特の燃え上がるような火焔土器です。照明用に香炉形土器も創りました。表は母をかたどり、裏には蛇を刻みます。中に油を入れ、女性器に見立てた穴を空気取り入れ口にして、夜の照明にします。真っ暗闇で燃え上がる炎は、力強く見守ってくれる、草原の母親を思い起こしたことでしょう。

その頃、中国大陸のジーは黄河に着いていました。和族の村へ向かう道筋、野生の粟(あわ)などの雑穀を見せたり、河や海での漁を眺めさせています。タイ族は嬉々として見入っていました。ジーが言った通り、タイ族にとって天国のような土地でした。

バイカル湖に旅立つ時に残した少年と少女は、立派に成長していました。彼らの子供たちが、ここからチベットや日本列島へ巣立って行ったそうです。小麦の消息は、ここでも分かりませんでした。タイ族は、みんなに歓迎され、和族の村の近くに、新しい村を築くことにしました。

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