和族遥かなる旅路

中国大陸編 第4話 - ナウマン象

夕暮れになって、猟に出ていたイーとソンの二人が帰ってきました。
夕食を囲みながら、ソンが興奮した面持ちでみんなに話しています。

[ソン]牙がこ~んなに大きくて、毛の長~い象がいた! おれは、あの象を追いかけて行きたい。
[イー]俺も。

二人は、揚子江の湿地帯で、ナウマン象と遭遇したようです。ナウマン象がいつごろ絶滅したのかはっきりしませんが、約20,000年前頃まで中国大陸や日本列島の湖畔に生存していたと推測されています。寒冷地を好むために皮下脂肪が厚く、古代人にとっては牙の魅力もさることながら、肉もこの上もなく美味だったかもしれません。

その事が、和族の行き末を大きく決定付けました。

[ジー]俺も行く。

ソンとイーはびっくりしました。息子のユーが来て、ここの生活を一番気に入っているジーが、まさか行くとは思わなかったのです。しかもジーは、狩猟はそんなに得意じゃありません。ジーには別の思惑があったのです。

[ジー]小麦は、北に出たかもしれない。俺はみんなと一緒に行って小麦を探す。
ユー、必ず帰って来るから、お前はここで、かあさんととうさんの帰りを待っていてくれ。
[ユー]わかった、とうさん。

三人は、一組の少年少女を伴って、再び旅に出ます。僕たちには、まだ遣らなければならない事があるようだ。三人はそう思い始めていました。揚子江を渡り、また、前人未到の地へ足を踏み込みます。

[ソン]いたぞ、ナウマン象だ。
[イー]おう。

みんなで追いかけますが、なかなか手を出せません。矢を放っても、長い毛に覆われ厚い皮下脂肪を持ったナウマン象は、びくともしませんでした。

夜は洞穴を探し、火を焚きました。ソンは、先端を鋭く尖らせた細い石器を作り始めました。尖頭器(石槍)です。尖頭器は、後に中国大陸全土に広がり、日本列島へもたらされてナイフ形石器に改良されます。

[イー]今のままでは、ナウマン象を倒すのは無理だ。少し作戦を立てよう。
先ず沼地に誘い込んで、動きを止めよう。それから全員で大きな石をぶつける。弱ってきたらソンが作っている槍で止めを刺す。

この作戦は見事に成功しました。次の日、子供のナウマン象を仕留めたのです。やはり僕らは、狩の生活が合っている。イーはそう思いました。肉も毛皮も手に入るし、脂肪から油をとれば明かりにもなる。

[ソン]よし、次はもっと大きいやつだ。

ソンも、ネアンデルタール人の血が入っているのでしょうか、絵を描くのが大好きです。この日は、ナウマン象の絵を描きました。焚き火に照らされた赤い大きなナウマン象が、今にも飛び出してきそうです。

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