和族遥かなる旅路

中国大陸編 第2話 - 父と子

[ジー]全体に土を被せるんだね。
[イー]あぁ。土が薄いと雨漏りがするし、厚いと屋根が抜けちゃうから、気をつけてな。
[ソン]・・・、お前たちのやる事は、さっぱり解らん。

[イー]ソンは、俺と一緒に、家の側面に土を被せてくれ。
[ソン]あいよ、ボス。

[イー]ようし、これで屋根に草が生えるだろう。完成だ!
[ジー]やった~。
[ソン]うん、なかなか住み心地のよさそうな家だな。

朝日は東の海から昇ります。かあさんも草原で見ているだろな。海辺の人たちも、小麦たちも元気にしてるかな。三人は、朝日や夕日を見ると、いつも故郷に思いを寄せます。

家は、孟宗竹に囲まれた台地にありました。海や川や砂浜が一望できて森も見えます。誰かが漁や狩をしていても、ここから呼びかけて手を振ればすぐに分かります。

ジーは、竹林を伝わってくる心地よい風を受けながら、木を削って皿や椀を作っていました。木の実を乗せたり大きな肉を盛り付けることができます。小麦に作ってあげた石臼も作ろうと思っています。
その時、海に出ていたソンの声がしました。顔を上げると、ずっと南に砂浜を歩いてくる人々が見えました。

[ジー]誰だろう?

ソンは、人々を家に連れてきました。3人の少年と3人の少女でした。一人の少年が、じっとジーを見つめています。

[ユー]とうさん・・・。
[ジー]・・・!?

[ユー]ぼく、小麦かあさんの子で、ユーといいます。
[ジー]・・・、そうか・・・、ユーか。来たんだな。

ジーは、我が子を抱き締めました。大粒の涙が二人の頬を濡らします。
サンお兄さんの息子のシンも、一緒に来ていました。

[ジー]かあさんは?
[ユー]うん、かあさんは、妹のヤーを連れて、インドからチベットの方に向かった。二手に別れた方が、とうさんを探し易いだろうって。
[ジー]そうか。かあさんは、偉いな。
[ユー]うん。

[ソン]やぁ、一気に賑やかになったなぁ。

早速、みんなで新しい家を作り始めました。子供たちにとっては、何もかもが新しい出来事でしたが、大自然に囲まれた生活に、たちまち溶け込んでいきました。春には女の子たちが草花を取ってきて家の近くに植え、竹の子の皮を干して食事の時の敷物にしたり、紐にして編んだりしています。

ユーとシンは、竹竿で魚を釣ってきました。糸に鹿の骨で作った釣り針を結び、小さな石の錘をつけています。

[ユー]ほら、とうさん。これだと僕たちにも魚が獲れる。
[ソン]へぇ、流石、ジーの子供だ。はははははっ。

女の子たちは、貝や木の実を採取したり、魚や肉を干したり塩漬けにしています。
人も増え、食料もたっぷりあります。ジーは、このままずっと平和で幸せな日々が続く予感がしました。

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