和族遥かなる旅路

中国大陸編 第1話 - 台湾沖

三人は、とうとう台湾沖にまでやってきました。当時の台湾は、露出した大陸棚に突き出した一つの山でした。その先に横たわる大陸には、山、川、森、林、およそ全てのものがありました。しかも、自分達以外は誰一人として居ません。

[イー]ここが、母さんの言っていた理想の地だろか。
[ジー]とうとう着いたんだね。
[ソン]すげぇ・・・。でっかいなぁ。

アフリカを出てから、1万年が過ぎていました。
現生人類で、最初に出アフリカをした Y-C1c は、1万年でオーストラリアに到着していますから、それに匹敵する速さです。

ここで、ご覧の皆様に知っておいて欲しいことがあります。海辺の村で出アフリカをしたのは、実はイブやジブの子供たちです。メソポタミアを出発してインド大陸に向かったのは小麦の子供たちやその子孫です。それぞれがイーとジーの意思を継いで旅をしますが、混乱を生じさせない為にイーとジーの物語にしています。

三人は取り敢えず、揚子江(長江下流)の汽水域に住居を構えることにしました。そこは温暖で木の実がたわわに実り、海水魚も淡水魚も獲れ、蟹や貝類も豊富で、狩猟も採集もできました。

[イー]よし、ここにしよう。おれとソンは交代で穴を掘る。ジーはそこの竹林で竹を切ってくれ。
[ジー]わかった。

住居は、縦穴を掘ってその土を周囲に盛り土します。そうする事によって雨水が中に進入するのを防ぎます。屋根は木や竹をドーム状に組んで葉っぱや草を敷き、その上に厚く土をかぶせます。数ヶ月もすると草が生え、屋根全体に根をびっしりと張ります。ちょっと目には草の生えた古墳みたいですが、夏涼しく、冬暖かい我が家が完成します。

入り口や窓を木や石で補強したり、明り取りや煙出しを工夫すれば、安全で快適な住居になります。中央に囲炉裏(いろり)を配置し、壁の周りに道具を並べると、空いた空間が寝食の場になります。何でもすぐに手が届いて、使い易そうな部屋ですね。

[ジー]兄ちゃん、ここらの竹は太くて立派だねぇ。雨季には大きな竹の子がいっぱい取れそうだ。

孟宗竹は、揚子江下流が原産です。日本には、平安時代に、京都の庭園に持ち込まれたと伝えられています。
ジーは、竹を切り出す道具も作りました。石器の刃の部分をギザギザにしたのです。同時に竹の便利な用途に気がつきました。水入れ、煮炊きの容器、盛り付けの椀、何でも作れそうに思えて夢が広がります。
やっぱりここが、かあさんの言っていた理想の地に間違いない。ジーは確信しました。

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