和族遥かなる旅路
東南アジア編 第3話 - スンダランド
三人がいたところは、チャオプラヤー川の土砂が堆積したスンダランドでした。
当時は海面が100mも低く、タイやマレーシアやインドネシアは、スンダランドを介して陸続きだったのです。
後日、このスンダランドは、アジア人の故郷となりますが、そんなこととは露知らず、三人は人気のない砂浜をさ迷います。とうとう人類未踏の地に足を踏み込んだのです。
[イー]う~ん。ここは人が居ないね。向こう側の民族は弓を持っていなかったから、こちら側には渡って来ていないのかも。それに森も少ない。
[ソン]象も居ないしな。
三人はスンダランドを出ることにしました。これは結果的にみて、現在の日本人の肌が白くなった原因になりました。もし、スンダランドに長くいたら、世界一黒かった民族の子孫である日本人の肌はまだ褐色だったでしょう。メラニン色素が抜けるには、高緯度に居住しても数万年かかるといわれていますから。
三人は、北に向かって歩き出しました。
[ソン]いつも不思議に思っていたんだけど、どうしてお前たちは、東への道がこっちにあると分かるんだ?
[ジー]うん。かあさんがね、迷ったら右手を海に向けて歩けって。そうしたら東に行けるって。
[イー]あぁ。とうさんも似たような事を言ってたな。洞窟で迷ったら、どちらか片一方の手を壁に付けて、ずっと行けば必ず出口に出られるって。
[ソン]へぇ・・・、お前たちのお母さんも、お父さんもすごいんだなぁ。
ソンは、しきりに感心しながら、兄弟に付いて行きました。
ベトナム辺りに差し掛かった途端に、また象と遭遇します。
[ソン]へへっ、こうでなくっちゃ。
[イー]おい、待てよ。
二人も笑いながら後を追いかけます。
周囲には民家どころか、これまで時折見かけた、古い貝塚もありません。やはり無人の地のようです。
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