和族遥かなる旅路

東南アジア編 第2話 - 鳴き砂

アンダマン海から山を越えてタイ側に降りてきた三人は、微妙な変化を感じ取ります。

[イー]やぁ。こっちは風が静かだ。
[ジー]うん、昨日までと違って、逆から穏やかに吹いている。
[ソン]おぉ。砂が鳴いてるぞ。
[ジー]ほんとだ、砂も生きてるんだねぇ。

砂の粒子が細かくて均一なとき、足で踏んだり手で握ったりする、とキュッキュッと鳴くような音が出ることがあります。
これは、川から運ばれてきた、石英質を沢山含む花崗岩の細かい砂が、穏やかな海で攪拌されながら堆積したところで起きる現象です。少しでも汚染が進んだり、砂質が変わると鳴かなくなります。
アジアでは、日本列島に最も多く、タイ南岸、バイカル湖で確認されています。

そこは、ところどころに森のある、今まで見たこともない広大な砂浜でした。
三人は、何日もかかってやっと海に出ました。

[イー]泳ごう。
[ジー]うん、浅瀬が沖までずっと続いているね。
[ソン]おっ、大きな蟹が泳いでる。海亀も泳いでいる。

三人は、陽が沈むまで、思う存分にこの砂浜と海で遊びました。
夜は、海で捕まえたガザミと、イーが獲ってきたウサギを焼きました。香ばしい香りが砂浜に拡がります。その砂浜を、満月が明るく照らしています。

[ソン]んっ、何だあれは・・・。亀か?
[イー]行ってみよう。

海亀の産卵でした。大きな身体を引き摺りながら、ゆっくりゆっくり、砂浜に上がって来ます。場所が決まると、後ろ足で器用に穴を掘ります。そこに卵を産むのです。涙をいっぱい貯めながら何個も何個も生みます。三人は、亀を驚かせないように静かに近づいて、じっと見守ります。

[イー]亀の卵って、まん丸なんだね。
[ジー]亀のかあさんも、大変なんだなぁ・・・。

卵を産み終わると、丁寧に丁寧に砂をかけて穴を埋めます。そして上がってきた砂浜を、また、ゆっくりゆっくりと帰っていきます。これが、2億年間も続けられてきた海亀の産卵です。

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