和族遥かなる旅路

アラビア編 第6話 - 海洋民族

二人は、アーリ姉さんに連れられて、海の村にやって来ました。小麦も一緒です。
その村は、大河から少し離れた所にありました。後ろには、ペルシャ湾を一望できる崖があり、その崖に抱かれるように、石造りの家がぽつぽつと建っています。
波は穏やかで、いかにも暮らし易そうな漁村です。

[イー]懐かしいねぇ。イブ族の海辺の村を思い出す。イブやジブは、元気にしてるかなぁ。
ここは、イブ族の村より、もっと沢山の人が住んでるね。
[ジー]うん・・・。お兄ちゃん、あの船は、丸太をくり貫いて作ってあるよ。どうやって、くり貫いたんだろ。
[イー]ほんとうだ・・・。

アーリは、そのなかの一軒の家に入っていった。

[アーリ]お兄さん、はいこれ、お母さんからの麦粉。
[サン]おっ。いつもありがと。
ん、この子達が、うわさの二人だね。何でも、簡単に脱穀できる道具を作ってくれたそうじゃないか。みんながすごく喜んでいた。今じゃ山の村でも使っているそうだ。俺からも礼を言うよ。

ジーは、照れくさかった。本当は小麦の為に作ったのに・・・。

[イー]お兄さん、僕たち海が大好きなんです。しばらく、ここに居させてもらえませんか?
[サン]ああ、父さんからも聞いてるよ。こんな所で良かったら、好きなだけ居るといい。
[イー]ありがとうございます!

[ジー]お兄さん。来る時に見かけたんですけど、丸太の船がありましたよね。
あれって、どうやってくり貫くのですか?
[サン]ああ、あれか。ちょうど今、弟がやっているから見て来るといい。小麦、案内してあげな。
[小麦]うん。あっちだよ。

三人は外に出た。途中出会った村人が親しげに語り掛けてくる。二人の事はすでに村中に知れ渡っているようだ。小麦は、なぜか海とは反対方向の森に向かっている。森に着くと、さらに奥へ入って行く。そこには太い樹が沢山生えていた。遠くで、コンコンと木を削る音が響いている。

[小麦]ソン兄ちゃん。船を作るところを見たいって。

二人と同じような年恰好(としかっこう)の少年が、太い丸太を石斧で一生懸命に削っていた。
そうか、此処で船の形にして、そこの小川を漕いで下れば海に出る。後は海岸で仕上げればいい。
なるほどなぁ。二人は海洋民族の知恵に感心した。

[ソン]ふうん。物好きなのもいるもんだ。毎日やってもな、太陽が30回昇らないと中はくり貫けないんだ。
[イー]僕らも手伝うよ。
[ソン]・・・まぁ、そこまで言われたら、断る理由はないわな。

ソンは、二人を上から下まで眺めてから、しぶしぶ承知しました。

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