和族遥かなる旅路

アラビア編 第5話 - 山の妖精

[イー」あ、こんにちは。・・・ごめんなさい。びっくりしたので・・・。
[マリア」ううん、いいのよ。慣れてるから。

マリアの全く気にしていない様子に、イーはホッとした。もしかしたら、姉妹を傷付けたかも知れないと思ったからだ。それにしても綺麗だ。草原のかあさんとは、また違った美しさだ。

[小麦」マリア姉さんはね、おかあさんのお腹の中にいるとき、山の白い妖精が移ってきたの。
[イー」山の白い妖精?
[小麦」うん。あの白い山にいるんだって。そこはね、いつも雪が降っていて、夏の間だけ草花が一斉に咲くと、何処からか白い妖精が出てくるんだって。おかあさんが言ってた。

小麦の言っている妖精とは、どうも、山の洞窟に住んでいるネアンデルタール人のようです。
二人は夢を膨らませました。世界には、僕たちの知らない事が沢山ある。かあさんが言っていた、理想の地もきっとある。

マリアは、海の兄弟から貰った魚の塩漬けや干物を、山の兄弟たちに届けてきて、替わりに麦粉を沢山持って帰って来た。小麦が言ったように、やはり山には麦が沢山自生しているようだ。

[ジー」お兄ちゃん、狩りが好きだから、行ってみれば山に。
[イー」いや・・・、此処より麦が多いんじゃ、大変だ。
[ジー」はははははっ。
[マリア]・・・。

久しぶりに全員が揃って、その夜の晩餐は賑やかでした。
食卓には、海の幸と山の幸が一杯。お母さんも、娘たちが手伝ってくれて嬉しそうです。
お父さんは、珍しく、ブクブク泡立った水を飲みながら上機嫌。

[イー」お父さん、それ、何んですか?
[首長」ん、ジーも飲んでみるか?
[イー」はい・・・、にがっ。
[小麦」はははははっ。

ジーにとっては、初めてのビールでした。
草原にいる頃、とうさんと狩りに出掛け、時々、木の穴に溜まった猿酒を見つけて飲んだ事はありましたが、こんな苦いのは初めてです。
でも、何だか陽気になってきて、いい気持ちです。顔付きは違うけど、草原のとうさんも此処のお父さんも、優しくて包容力があって、男らしさを感じます。

夜、二人は語り明かしました。

[ジー」幸せな村だねぇ。
[イー」うん、みんな良い人達だね。それに、みんな自分の事より、いつも他人の事を考えている。

[ジー」ねぇ、お兄ちゃん。マリア、お兄ちゃんに気があるんじゃないかなぁ。
[イー」そんな事はないな。
小麦の話だと、マリアは村で一番もてるらしい。俺なんか気にするはずがない。
[ジー」そうだねぇ。此処の村の男たちは、みんなイケメンで格好良いものねぇ。
[イー」もう寝よう。
[ジー」うん。

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