和族遥かなる旅路

アフリカ編 第1話 - 旅立ち

アフリカ・エチオピアの大草原、昇ったばかりの大きな朝日を背に、幼い兄弟が二人。
一人は十二歳位、もう一人は十歳位だろうか。
二人がじっと見つめる先には、優しそうな女性が、小さな女の子と手を繋ぎ、朝日を浴びて眩(まばゆ)いばかりに輝いている。

[イー]かあさん、行きます。
[ジー]・・・、行きます。

[母親]気を付けて行くのですよ。
あの朝日に向かって、ずっとずっと東へ行きなさい。
きっと、あなた達にとって理想の場所が見つかります。

母の眼にうっすらと涙が溢れ、涙の粒がまるで宝石のように光り輝いている。
妹のヨーは、今にも泣き出しそうにべそをかく。
イーは、朝日に燦燦(さんさん)と輝く母を見てはっと目を見開いた。
(かあさん、なんて綺麗なんだ・・・)
その姿は、永遠に兄弟の脳裏に焼き付き、以後、二人の行き先々で事有る毎(ごと)に現れることになる。

[イー]ヨー、かあさんを頼むぞ。
[ヨー]・・・イーにいちゃん・・・、ジーにいちゃん・・・。

二人の兄弟は、もう振り返らなかった。
母親の言葉に従い、朝日に向かって黙々と歩きだした。
父に貰った小さな弓矢を大事そうに抱え、母が用意してくれたタロイモと水を腰に結び付けて、さっそうと歩く。

[ジー]兄さん・・・、父さんは、西へ行ったきり帰って来なかったね。
どうしてかあさんは、僕たちに、父さんたちと反対の東へ行けなんて言うんだろ?
[イー]・・・わからない。かあさんには、何か考えがあるんだろう。
おれ達は母さんを信じるだけだ。
[ジー]・・・うん。

やがて、二人は草原のずっと先に海を見出します。

[イー]ジー、あれが、かあさんの言っていた海だ。
[ジー]うん。かあさんてすごいよな、何でも知っている)
・・・そんなかあさんを置いて、父さんは何処に行っちゃったんだろ?
[イー]父さんの事は、もう言うな。
とにかく海へ出よう。ここらは身を隠す場所も無いし、食べ物も無い。
[ジー]・・・うん。

[イー]いいか、ジー。
ライオンがいたら、すぐ草むらに隠れるんだぞ。
見つかったら、後ろを振り向かないでとにかく逃げろ。分かったな。
[ジー]うん、分かった。

二人は、海を目指してひたすら歩き続けます。

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